迷わず読めよ!プロレス名言アーカイブス

燦然と輝くプロレスラーによる名言!リングで激闘を重ねた彼らの口からほとばしる、示唆に富み滋味あふれる数々の名言があなたの人生に役立ちますように。

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プロレス名言No.006「指の角度が違えば違う技」by冬木弘道(理不尽大王)

理不尽大王と化してからの10年間、その狂い咲きが印象深い冬木弘道。理不尽大王誕生のきっかけを作ったのがこの名言「指の角度が違えば違う技」だ。

キャリアのスタートから国際プロレスという日陰、崩壊後の移籍先が全日本プロレスというこれまた中堅以下にとっては無情な日陰、天龍同盟入り後も天龍&阿修羅・原の龍原砲と比べれば圧倒的に感情移入しにくい川田利明とフットルースでアジアタッグ戦線という日陰、週刊プロレスやその読者等による総スカンを食らったSWSでは叩きやすい中堅として悪目立ちするも扱いは日陰、新日本プロレスと抗争中のWARでもただの人数合わせという日陰。
しかし日陰の王道を歩んできたキングオブ日陰にも転機は訪れる。

折しも、冬木離脱後の全日本プロレスはジャンボ鶴田が病気により一線を退くと冬木と仲の良かった三沢、フットルースのパートナーだった川田を中心に「四天王プロレス」という、リングアウト・反則・過度なアピールを廃した完全決着スタイルを作り上げ、隆盛を極めていた。
俺とともに日陰を歩いた川田が、俺と一緒に出て行かなかった川田が、俺無き後も日陰を歩くはずの川田が、求道者のごとく純粋なプロレスで脚光を浴びている。俺と一緒にダサい衣装でカンナムに星をやった川田が、地味なはずの川田が、天龍さんを意識した、黄色を差し色にした黒の地味なコスチュームで、脚光を浴びている…!

これまでも日の当たる場所を求めて彷徨ってきた。しかしそれはいつも道を開く誰かの後について回っただけだった。
94年4月。ついに冬木は自ら動き出す。まずは川田、あいつの技をいただく。

ということで冬木は一見、川田の得意技「ストレッチプラム」に見える技「冬木スペシャル」を繰り出した。試合後、あれが川田の技と知る記者が尋ねる。
「ストレッチプラムを繰り出しましたが、川田へのメッセージですか?」
冬木は吠えた。
「バカヤロー!指の角度が違えば違う技なんだよ!あんなしょっぱいのと一緒にするな!」

ここまで堂々と人の技をパクり、オリジナルと開き直り、ネタ元をけなしたレスラーはいない。
かくしてここに理不尽大王の輝ける第一歩が踏み出されたのだ。

以降、まるで人が変わったかのように我が道を貫いた冬木。ソバージュヘアを振り乱し、奇声を上げ、地団駄を踏み、あるときは紫のロングガウン、ある時はブリーフ一丁でプロレス界を駆け抜けた。
冬木弘道はもう日陰者ではなかった。

Photo credit: ketrin1407 via Visualhunt / CC BY

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