プロレス名言No.005「特にありません」byオカダ・カズチカ(レインメーカー)
2016/07/19
「カネの雨を降らせる男」オカダ・カズチカの、しゃべりが今ひとつだというウイークポイントを逆手に取ったのがこの名言「特にありません」だ。
オカダは中卒でウルティモ・ドラゴンの闘龍門に入り、メキシコでデビュー。将来性を買われ新日本プロレスに移籍した。
2016年現在、まだ28歳でありながら団体のエースとして君臨している。
若さ、ルックス、190センチ107キロの恵まれた身体、高い打点のドロップキックから伺えるものすごいバネ、説得力のある必殺技「レインメーカー」、闘龍門で仕込まれた確かな技術、レジェンドレスラー天龍源一郎からは引退試合の相手に指名され…非の打ち所のない完全無欠の才能を持つレスラー、と言いたいところだが。
大きく難があるのがそのしゃべり。
一度口を開けば朴訥な好青年感が漂う。憎々しげな若者として売りださなくてはならないのだが、、、ということで、オカダの売り出しには非常に古典的な解決策「マネージャーにしゃべらせる」が採用された。
稀代のトラッシュトーカーであるマネージャーの外道がしゃべり、挑発し、オカダがプロレスで魅せる。そしてまた外道がしゃべって締める。こんなクラシカルなやり方がIoTだディープラーニングだの花盛りな21世紀の今日、大ヒットしたのである。
外道があることないこと喚き散らし、最後に外道がオカダに話を振る。
「○○については…(しばらくタメて)特にありません」
定型化したこのやりとりのおかげでオカダはしゃべりのプレッシャーから開放され、ますますプロレスに集中でき、磨かれるという好循環が生まれた。
木谷オーナーのお気に入りとして会社から守られ、しゃべりは外道から守られ、とはいえいずれオカダも血を吐くような彼自身の、アングルを越えた本当の言葉を求められる、または吐かざるを得ない、そんな瞬間が来るんだろう。
その時にオカダが何を言うのか、とても楽しみだ。
Photo via Visual hunt