プロレス名言No.008「愛してまーーーーす!」by棚橋弘至(100年に1人の逸材)
闘魂三銃士以降の世代で最も顔が売れているレスラー・棚橋弘至。日本のファイトビジネスのメインストリームに堂々復活した新日本プロレスの大黒柱であり、復活する過程における最重要人物と言える。
握手したファンの顔を忘れない、まめな営業活動、ビジネスに対するマインドなど、非常に好感度の高い男だ。
しかし、ちょっと年季の入ったファンからすると、棚橋に対するこの「好青年的」高評価は3割引きどころか8割引きしたくなる。
棚橋といえばやはり「二股交際の果てに刺されて瀕死事件」の男なのだ。
あらましはこうだ。
二股の相手に別れ話をしたところ、逆上した相手(こちらの女性も二股交際、つまりダブル二股!)に背中から刺されるという「女たらしざまあwwww」な事件なのだが、刺されてからがイイ話。殺されると思った棚橋は原チャリで現場から逃走、なおも追いすがる全裸の女性を尻目にとりあえず病院に行ったところ、傷は肺に達し、命に関わるまさかの深手であることを告げられる。結局棚橋は全血液の3分の1を失血、意識不明に陥るも一命を取り留めた。
その後は長州力に「人生は長い、あきらめずに頑張れ」と書かれた花をもらったり、女に刺されたことを面白がったアントニオ猪木が新日の下した解雇という決裁をひっくり返してPRIDEの会場に連れ回したりするうちに棚橋は改心したのだった。
この話は楽しめるポイントが沢山ある。
そもそも複数の交際相手を持つ女性への別れ話で刺されるという、プロレスラーの下半身幻想を大いに高めるヤリチンエピソードだし、鍛えた肉体の頑健さからは「やっぱレスラーすげえな」と思わせるし、「スキャンダルを味方にする」猪木イズムだし、長州の一筆もまた味わい深い。
こんなイイ話を持っている21世紀のレスラーは棚橋だけだ。だからこそ、今の棚橋に対する「好青年評価」というのは全くいただけない。
この名言「愛してまーーーーす!」は、二股相手に刺されるほどチャラいヤリチンの棚橋がリングの中心で愛を叫ぶからおかしみがあることを、新しいファンはもとより、世間の皆様もぜひ知ってほしい。